お金はもどってこない
悪い人たちに渡してしまったお金はもどってきません。
計画的に会社を倒産させたり、財産をかくしたりしながら、あの手この手で責任をのがれようとするからです。裁判で負けたところで、「私にはお金なんてありません」と開き直るつもりでいるからです。
残念ながらたとえ裁判で勝っても、相手が何も持っていなければどうにもなりません。1円も取りもどすことはできません。
そして「財産なんてありません」という相手のウソをあばくためには、再び裁判を起こさなければならないのです。
「勝っても負け」のような状況が続き、被害者の負担ばかりが増えていく。理不尽なようですが、これが現実なのです。
お金を渡してしまったら、もどってきません。
話を聞いてしまったら、お金を渡すまで帰ってくれません。
話をさせてしまったら、話を聞くまでやめてくれません。
とにかく相手は悪質なのです。
18)悪質商法のまとめ
◆被害にあわないためには
悪質商法は、知らない人が近づいてくるところから始まります。
被害にあわないためには、彼らが近づいてくる時点でシャットアウトし、何も話をさせないことです。
◆マルチ商法
マルチ商法がやっかいなのは、知っている人が近づいてくることです。
知り合いが相手なので、誘われた時点で断るのが難しいのです。
マルチ商法の特徴は、紹介料を目当てに、誘われた人が次は誘う側になって組織を広げていくことです。
あなたを誘ってきた人の役割は、勧誘のプロにあなたを紹介することです。
被害にあわないためには、勧誘のプロに会う前に帰るしかありません。
◆被害にあってしまったら
申し込みや契約をしてしまったその日のうちに、クーリングオフに向けた行動を開始してください。
◆クーリングオフ
クーリングオフは、申し込みや契約をしてしまったことを、一方的になかったことにできる最強の法定解除権です。
クーリングオフには期限があります。
例えば、特定商取引法では「8日間」とされています。
(マルチ商法などは「20日間」と長くなっています)
クーリングオフは必ず「書面」で行う必要があります。
その代わり相手に伝わったかは関係ありません。
クーリングオフの書面を相手に送った時点で、契約は解除されます。
クーリングオフをすると、すべて相手の負担で元にもどすことになります。
17)クーリングオフをすると
クーリングオフをすると、すべて相手の負担で元にもどすことになります。
「一方的に、無条件で、いかなる負担もなしに」がクーリングオフの特長です。
◆お金
相手はすみやかに全額を返金しなければなりません。
◆商品など
相手は商品などの使用料を請求することはできません。
相手の負担で商品などを引き取らせることができます。
◆サービス
相手はすでに提供した分の料金ですら請求することはできません。
◆損害賠償
相手は損害賠償や違約金などをいっさい請求することはできません。
なお、クーリングオフに関する特約で、あなたにとって不利なものはすべて無効です。したがって契約書に何と書かれていようと、法律で決まっているとおりにクーリングオフはできます。
[メモ]
契約に違反したことへのペナルティ(罰)として相手に支払うお金のことを違約金といいます。
16)クーリングオフは必ず書面で行う
クーリングオフは必ず「書面」で行う必要があります。
口頭や電話ではクーリングオフはできません。
その代わり、ふつうの契約の解除とは異なり、相手に届いたか(伝わったか)は関係ありません。クーリングオフの書面を相手に送った時点で、契約は解除されます。
したがって、送った日付がとても重要になります。
書面はふつうのハガキでかまいませんが、必ず両面のコピーをとってから郵便局へ行き、送った日付が証拠として残る簡易書留を利用してください。
クーリングオフで大切なのは、相手に伝わったかではなく、期限内に「書面を出したか」です。
[メモ]
ハガキの書き方のサンプルを見たいときは、国民生活センターや消費生活センターのサイトにアクセスしてみてください。
実際にクーリングオフをしたいときは、すぐに最寄りの消費生活センターに連絡をして、ハガキの書き方などについて具体的なアドバイスを受けてください。
15)クーリングオフには期限がある
クーリングオフには期限があります。
いつでも好きなときにできるわけではありません。
例えば、特定商取引法では「8日間」とされています。
(マルチ商法などは「20日間」と長くなっています)
8日間の計算のしかたは、必要な書面を渡されたか、クーリングオフを妨害されたかにより変わるのですが、大切なのは「期限がある」ということです。
悪質な業者はクーリングオフをさせないために平気でウソをつきます。
8日間が過ぎる時間をかせぐため、わざと返事を遅らせたり、連絡をとれなくしたりします。
悩んだり考えたりしているヒマはありません。
必ず申し込みや契約をしてしまったその日のうちに、クーリングオフに向けた行動を開始しましょう。
13)それでも悪質商法の被害にあってしまったら
申し込みや契約をしてしまったその日のうちに、クーリングオフに向けた行動を開始してください。
まずはあなたが住んでいる「市町村名 消費生活センター」で検索し、最寄りの消費生活センターの電話番号を調べてください。
そしてすぐに電話し、被害にあった状況を説明して、クーリングオフができるケースなのか確認してください。
クーリングオフができると言われたら、クーリングオフをするためのハガキの書き方などを具体的に教えてもらってください。
クーリングオフはできないと言われたら、他に申し込みや契約をなかったことにする方法はないかアドバイスを受けてください。
話し中で電話がつながらないときは、申し込みや契約をした書類一式とハガキを2枚もって消費生活センターに直接行きましょう。
「ひとりで悩む」ことだけは絶対に NG です。
[メモ]
消費生活センターは都道府県や市町村が運営している公的な機関で、消費生活全般にかかわるトラブルの相談を受け付けているところです。専門の相談員が電話や面談などの方法でアドバイスをしてくれます。