6)保証の上限額を決めないと契約は無効になる
保証の中には、次の場合のように、契約をした時点では「保証する額が決まっていない」ものがあります。
◆アパートなどの連帯保証人になる
家賃の滞納が続くと保証する額が増える
◆入院するときの連帯保証人になる
入院費や治療費がかさむと保証する額が増える
◆借金の連帯保証人になる
借金が増えると保証する額が増える
このような形の保証を「根保証」といい、実際にいくら保証することになるのかわからないのが特徴です。
そのため、思いもしない高額な支払いを後から求められ、トラブルになるケースも少なくありません。
そこで、個人が根保証をするときは、具体的な金額で保証の上限額(極度額)を決めておかなければならないことになっています。
この極度額を決めずに契約をしても「無効」ですので、保証人になることはありません。
借金の連帯保証に比べ、アパートを借りたり入院したりするときの連帯保証は、より身近なものといえます。
頼まれる可能性は誰にでもあり、子どもが住むため、親が入院するためとなれば断るわけにもいきません。
それでも「連帯保証人になる」からには、契約書をよく読み、極度額が高額であればその理由を確認し、納得した上で引き受けるようにしてください。
4)保証人になる契約は「書面」でしなければならない
保証人になる契約は、書面でしなければ成立しません。
(口約束だけで連帯保証人にされることはありません)
[メモ]
手紙を書きたいから住所と名前を教えてほしい。そう言って A4 の白紙の右下あたりを指さして、ここに書いてくれと頼まれたらどうしますか?
A4 の紙を縦にした状態を思い浮かべてください。
その右下あたりに本人直筆の住所と名前が書いてあり、あとは白紙。
この紙、後から好きなように文章を加えれば、借用書にも連帯保証人の契約書にも、白紙委任状にも作り変えることができます。
必要な書類以外に直筆で住所と名前を書くのは NG です。
3)連帯保証は借金よりもつらい
借金の連帯保証人になると、実際にお金を借りて使った人と全く同じ義務を負うことになります。
借りたお金を見てもいないのに、利息を払ったり借金を返したりする義務だけは全く同じに負うのです。
したがって、借りた本人に何かあれば、お金を貸した人は無条件で連帯保証人にすべての支払いを求めることができます。
まず本人、次に連帯保証人などという順序はありません。
貸した側からすれば、「連帯保証人に貸した」のと同じことなのです。
よく考えてみてください。
借りた本人は、実際にお金を手にし、使っています。
連帯保証人は、借りたお金を1円も使っていません。
それなのに何かあったときは、自分の全財産を処分してでも、残りの借金を返し、利息や遅延損害金まで払わなければならないのです。
こんなバカらしい話はないと思いませんか。
連帯保証は借金よりもつらいのです。
[メモ]
支払いが遅れたことへの損害賠償として相手に支払うお金のことを遅延損害金といいます。
2)借金の連帯保証人
借金の連帯保証人には、絶対になってはいけません。
リスクしかないし、損しかしないからです。
家族のほかに連帯保証人が必要な人には、すでにかなりの額の借金があります。
そして本人や家族には、借金を返す力や担保になる財産は残っていません。
つまり、自分の力ではもう借金ができない、借金をしてはいけない人なのです。
更に深刻なのは、相手が失敗に失敗を重ね、心も体もボロボロになっていることです。正しい判断などできない状態にあることです。
「名前だけ貸してほしい」
「返すあてはある」
「絶対に迷惑はかけない」
残念ながら、それは全部ウソです。
名前だけでは済まないし、返すあてなんかないし、迷惑しかかかりません。
借金の連帯保証人には、絶対になってはいけません。
必ず後悔します。